投資評価
コーポレートファイナンスとはその名の通り、企業の資金調達の事です。
資金調達には利子等のコストがかかります。これを「資本コスト」と言い、
企業の投資活動はこの資本コストに対して割りに合っているか(回収できるのか、どれくらいのリターンが得られるのか)を軸に判断します。
●現在価値
現在価値とは将来の資金を現在価値に割り引いたものを指します。例えば利息5%の預金で、一年後の合計金額が105万円である場合、現在価値は105万円÷105%=100万円となります。
・複利現価係数
上記の例ですと割引率は5%となり、2年後、3年後の現在価値を出すにあたって複利で割り引いていく必要があります。この年毎の複利割引率が複利現価係数です。
・年金現価係数
複利現価係数を年毎に足していったものが年金現価係数です。
●フリーキャッシュフロー(FCF)
フリーキャッシュフローとは事業活動から得た資金から投資資金を差し引いたものです。企業の投資評価はこのフリーキャッシュフローを主に用いることになります。
FCF=税引後営業利益+減価償却費−運転資本増加額−投資額
運転資本=売上債権+棚卸資産−買入債務
また、FCFはキャッシュフロー計算書からも計算可能です。
FCF=営業活動によるCF+投資活動によるCF
●正味現在価値法
投資によって将来得られるキャッシュフローを現在価値に割り引いた後に投資額をマイナスし(正味現在価値)、プラスであれば投資を実行すべきという考え方です。
●内部収益率法
内部収益率(IRR)とは、正味現在価値がちょうどゼロになる割引率です。
つまり内部収益率と資本コスト(支払利息利率など)を比較し、内部収益率が大きければ投資を実行すべきという考え方です。
内部収益率(R) CIF /(1+R)=投資額
内部収益率法には問題点もあり、年数が嵩むと式が複雑になる点、投資の規模が反映されない点があります。
●回収期間法
回収期間=投資額/キャッシュフロー
回収期間法は現在価値に割り引いていないので時間的価値を無視している点、回収期間がどれくらいであれば良い投資なのかが不明確な点が問題です。
●会計上の投資利益率法
投資利益率=会計上の平均利益/平均投資額
会計上の投資利益率法はキャッシュフローではなく利益(会計処理の方法で変動)を使って測定してしまっている点、時間的価値を無視している点が問題です。
●取替投資による節税効果(タックスシールド)
取替投資とは工場の設備などを入れ替える投資を指します。
この取替投資には節税効果があります。
まず新設備購入代金があり、旧設備の固定資産売却損がある場合はそこに実効税率を掛けて減算されます。(キャッシュアウトフロー)
つまり固定資産売却損分の節税に成功しています。
さらに旧設備の売却金額をマイナスすると(キャッシュインフロー)差額キャッシュフローが算出できます。