資本市場、資本コスト
●資本コストとは
銀行からの借入、社債の発行であれば利子の支払い、
株式の発行であれば配当金の支払いと言ったように資金調達における費用が資本コストです。
特に株式発行による資金調達は投資家にとって魅力的な投資商品でなければ資金は集まりません(株は買われません)ので、投資家目線での購買意識を分析する(投資家心理を知る)必要があります。
●リスク・リターン
投資家はリスクテイクしてリターンを得ています。
リスクとはリターンのばらつきです。
ばらつきが多いほどリスクは大きくなります。
このリターンのばらつきを調べる際の要素は下記の通りです。
確率:投資商品をケースバイケースの環境下で取得、運用できる確率
(ケースとは「好景気」「不景気」など。)
収益率:ケース毎想定の利回り
期待収益率:収益率×確率をケース毎に算出し合計した数字
偏差:ケース毎の収益率−期待収益率
分散:偏差の二乗×確率
標準偏差:√分散 → 標準偏差が大きいとリスクが大きくなります。
複数の投資商品を組み合わせることをポートフォリオを組むと言います。
ポートフォリオを組んだ場合、期待収益率は組み入れ比率を掛けて合計した値になります。組み入れ比率が変わると標準偏差(リターンのばらつき)は上下します。
つまり最小の標準偏差となる組み入れ比率が最もローリスクなポートフォリオになります。
ただし、これは組み合わせた投資商品が逆の動きをする場合であり、同じ動きをする場合は分散投資効果を得られません。(標準偏差は下がりません)
どれくらい一緒の動きをするのか、を表すのが「共分散」です。
共分散=投資商品Aの偏差×Bの偏差×確率 のケース毎の合計
さらにどれくらい連動しているのか、を表すのが「相関係数」です。
この相関係数が1なら全く同じ動き、−1なら全く逆の動きをします。
つまり、相関係数が−1の時、ポートフォリオによるリスク分散効果は最も高くなります。
●CAPM
CAPMとは個別の株式のリターンとリスクの関係を表すモデルです。
個別株式の期待収益率=リスクフリーレート+β値×市場リスクプレミアム
・リスクフリーレート
国債など、標準偏差がゼロで一定の期待収益がある資産をリスクフリー資産と呼び、
その利回りをリスクフリーレートと呼びます。つまり、投資家はリスクを負って投資をする際、最低でもリスクフリーレート以上のリターンを求めます。
・β値
市場ポートフォリオ(株式市場全銘柄をポートフォリオとする考え方)と比べた時の個別株式のリスクの大きさです。例えば電気やガスを扱う会社の株式よりも不動産業の株式の方が景気動向に影響されやすくリスクが高い為、βは高く設定されます。
・市場リスクプレミアム
個別株式の期待収益率からリスクフリーレートを差し引いた値です。
(国債利回りより何%上回るのかでリスクテイクの是非を判断します。)
●資本コスト
冒頭にあるように、資本コストとは債権者に支払う金利や株主への配当金です。
資本コストの算出には下記公式を使用します。
WACC=負債/負債+資本×(1−実効税率)×負債利子率+資本/資本+負債×CAPM
負債利子率:利子支払額÷負債額
会社が通常の活動から生み出すことのできる利益、つまり営業利益と金融収益(受取利息と受取配当金を含めることが多い)が、支払利息をどの程度上回っているかを示す指標です。
●効率的市場仮説
株式市場における株価には常に最新の情報が織り込まれて価格が形成されているので、株価の予測をすることは不可能という説です。(よって私の塩漬け株もいつかは利益が出る可能性があります。)この説には下記の解釈が補足として存在します。
・ウィークフォーム
現在の株価には過去の株価が反映されているので、過去の株価の変動推移の分析は意味が無いという仮説。
・セミストロングフォーム
現在の株価には企業の公開している情報(IR、財務諸表等)が迅速に反映されているので、そういった情報の分析は意味が無いという仮説。
・ストロングフォーム
企業が公開している情報のみならずインサイダー情報も株価に反映されているので、インサイダー情報も意味が無いという仮説。
・ランダムウォーク理論
そもそも株価の値動きは上がるか、下がるかの五分五分なので株価の予測自体意味が無いという理論。