企業価値・現代の資金調達
●企業価値評価
企業価値評価とは「企業を買収するにあたっていくらなら買えるのか」という評価になります。企業価値評価には下記の方法があります。
・DCF法
企業が将来生み出すキャッシュフローを現在価値に割り引いて企業の価値とする評価方法です。
この評価方法には将来のフリーキャッシュフロー(FCF)と、企業の資本コスト(WACC)を計算します。
FCF:営業利益×(1−実効税率)+減価償却費−運転資本増価額−投資額
WACC:D/(D+C)×(1−実効税率)×負債利子率+C/(C+D)×CAPM
ここから、
企業価値=FCF1/(1+WACC)+FCF2/(1+WACC)二乗・・・FCFn/(1+WACC)n乗
上記の式で企業価値が算出できます。ちなみに上記は毎年のFCFが変動する場合の式であり、毎年のFCFが一定の場合はFCF/WACCで企業価値判断が可能です。
また、一定の割合で成長する場合はFCF/(WACC-成長率)で導くことができます。
・収益還元法
企業価値=予想税引後純利益/資本還元率
※予想税引後純利益は永続的に一定という前提の下使用する式になります。
・配当還元法
企業価値=株主価値+負債価値
※株主価値=配当額/資本還元率
※配当額は毎期一定という前提の下使用する式になります。
・簿価純資産法
株主価値=資産(簿価)−負債(簿価)
※簿価純資産法の株主価値は企業の清算価値とも言えます。
・時価純資産法
●MM理論
MM理論とは「完全資本市場」を仮定して最適資本構成を研究したモデルのことです。
完全資本市場とは法人税や取引コストがゼロの市場のことであり、その状況下で全ての投資家へ企業情報が的確かつ同時に伝播する状態の市場です。
こういった完全資本市場において、企業価値はその資本構成に依存しないという考えがMM理論であり、最適資本構成(企業価値を高める負債比率等)は存在しないという結論です。
しかし実際には法人税は存在しますので、負債比率が増加すると企業価値は高まります(負債額×法人税率の節税効果がある為)が、負債比率が増えると資本コストは増加しますので、良い塩梅での負債比率が最適資本構成となります。
●株価の評価
・理論株価
株主価値÷発行株式数
株主価値=配当額/(資本還元率−成長率)
・PER
株価÷1株当たり当期純利益
PERが低い方が株価は割安となります。
・PBR
株価÷1株当たり当期純資産
PBRが1以上の場合、株価は割高となります。
・PCFR
株価÷1株当たりキャッシュフロー
1株当たり配当÷株価
・配当性向(利益をどれくらい配当に割り当てているか)
配当総額÷当期純利益
・為替予約
為替変動リスクを回避するもので、事前に為替レートを決定しておくという仕組みです。例えば輸入業が1ドル100円の時に100ドルの商品を仕入れ予定であったものの、
支払い当日に1ドル110円にレートが上がってしまうと支払い金額は10,000円から11,000円に上がり、1,000円の為替差損が発生します。これに備えて、支払日より前に、予め1ドル103円で為替予約することにより為替差損を300円で限定&確定できます。
決められた期間内に決められた価格で取引する権利をオプションといい、
為替予約と違い権利を行使するかどうかを自由に選択できます。
(ただし、一定の手数料であるオプションプレミアムを支払う必要があります。)
買う権利をコールオプション、売る権利をプットオプションと言い、
コールを買う/売る、プットを買う/売るの4種類の立場があります。
また、オプションには満期日のみ権利行使ができる「ヨーロピアン」と満期日以前であればいつでも権利行使ができる「アメリカン」があります。