キャッシュフロー計算書
キャッシュフロー計算書とはその名の通りお金の流れを計算したものです。
キャッシュフロー計算書は「口座にいくらあるか」(現金主義)にフォーカスしたものですので、損益計算書の数字(発生主義)とズレが生じます。
●キャッシュとは
キャッシュフロー計算書において現金及び現金同等物を指します。
現金同等物とは元本がほぼ保証される短期投資を指します。具体的には3ヶ月以内に現金化できる定期預金(満期日ではなく預入から満期までが3ヶ月以内)、譲渡性預金、コマーシャルペーパーなどです。
キャッシュフロー計算書での計算項目は3つです。
・営業活動によるCF
・投資活動によるCF
・財務活動によるCF
●営業活動CF
作成方法に直接法と間接法があります。
①間接法
損益計算書と貸借対照表からキャッシュフローを計算する方法です。
「税引前当期純利益分のキャッシュが全て入金された」と仮定し、現金主義ですので未払のものは加算(まだ払っていないから現金はある)し、前払のものは減算(もう払っているので現金はない)します。
調整項目は下記の通りです。
・非資金項目
減価償却費及び貸倒引当金増加額が該当します。どちらも損益計算書では費用としていますが、実際に現金が減ったわけではないので、税引前当期純利益に加算します。
・営業活動以外の損益
受取利息、受取配当金、支払利息、有形固定資産売却益は営業活動外のCFですので、これも加算または減算します。(費用は加算、収益は減算)
・営業活動で生じる資産と負債
売上債権(売掛金+受取手形)の増加額、棚卸資産の減少額、仕入債務の減少額を調整します。
これらも現金主義で考えると売上債権は未だ債権なので現金ではない、よって減算というように、資産が増えた場合はキャッシュをマイナスし、負債が増えた場合はキャッシュをプラスする必要があります。
(もう払ったから金はない、まだ払ってないから金はある)
・その他営業関連の調整
経過勘定である前払費用、未収収益、前受収益、未払費用を調整します。
※ここまでで一度「小計」を算出し、利息及び配当の受取額、利息の支払額、法人税等の支払額を算出します。この3つは主な営業活動ではないが投資・財務活動でもないものになります。
②直接法
直接キャッシュの動く取引を集計する方法です。
下記4項目を算出して導きます。
・営業収入
営業収入=売上高−売上債権増加額(−当期貸倒高)
当期貸倒がある場合は回収できていませんので減算が必要です。
・仕入支出
・人件費支出
人件費支出=−人件費支出項目+未払給与増加額−前払給与増加額
・その他営業支出
その他営業支出=−営業関連項目+未払費用増加額−前払費用増加額
●投資活動CF
・有価証券
取得による支出と売却による収入を分けて記載します。
期首残高+当期取得分から当期売却分と評価損を引くことで期末残高が算出できます。
評価益がでた場合は当期取得分に加算して当期売却分を差し引きます。
・有形固定資産
間接控除法と直接控除法があります。違いは減価償却費の取り扱いで、前者は減価償却累計額と当期減価償却費を借方、有形固定資産満額を貸方に仕訳し、後者は有形固定資産満額から当期減価償却費を引く方法です。
●財務活動CF
財務キャッシュフローには借入金、社債の発行及び償還、株式の発行及び配当の支払があります。借入金・社債は借入による収入と返済による支出、株式は発行による収入(資本金+資本準備金)、自己株式取得による支出があります。