事業戦略
★今回は事業ごとの戦略についてです。
●ファイブフォース
ファイブフォースとは、業界内での5つの競争要因を意味します。
・既存競争業者
・新規参入業者
・売り手(仕入れ先)
・買い手(顧客)
・代替品
この5つの力が価格決定をはじめ業界内での競争において脅威となります。
●参入障壁
新規参入業者の脅威はこの参入障壁がどれくらい高いかによって決まります。
参入障壁は、
・独自の高度な技術が必要な場合
・大規模な設備投資が必要で、規模の経済が効く場合
・流通チャネルが排他的な場合(仕入→販売までのフローの模倣困難性が高い)
に高くなります。
●移動障壁
同業界でも収益性(収益モデル)は同一ではなく、かなりの違いがあります。
これを「戦略グループ」の違いと表現します。
例:アパレル業界でもユニ◯ロとバレン◯アガでは戦略グループが違います。
この戦略グループの移動において生ずるのが移動障壁で、ファストブランドがハイブランドに一朝一夕で参入するのは難しい事を示しています。
●競争優位戦略
ファイブフォースや障壁の確認を終え、競争の中で優位性を高める戦略です。
競争優位戦略には3つの基本戦略があります。
・コストリーダーシップ戦略
業界全体をターゲットとして、低コストを目指す戦略です。
業界全体をターゲットとして、デザインなど、何らかの差別化を図る戦略です。
・集中戦略
業界全体ではなく、特定のセグメントの中で、コストリーダーシップ戦略、差別化戦略を図る戦略です。
価格連鎖(バリューチェーン)は企業の内部活動の結果付加価値が生み出される流れ
(価格決定までの流れ)を表しています。
内部活動(価値活動)には「主活動」「支援活動」の2種類があり、下記の項目に分かれています。
・主活動
購買物流→製造→出荷物流→マーケティング・販売→サービス
・支援活動
全体管理、人事・労務管理、技術開発、調達活動
この価値活動が生み出す付加価値とコストの差が利益となります。
主活動のどの活動で付加価値を最も高めるのか、支援活動のどの活動でコスト軽減を目指すのかを選択した競争戦略に合わせて検討していくためのツールがバリューチェーンです。
●競争地位別戦略
競争優位戦略を実行しPDCAしていく中で業界内での競争地位が確立されます。
競争地位別戦略では業界内での現在地点(地位)によってとるべき戦略が変わる為、
それを検討する指標になり、下記の4種類があります。
・リーダー
業界のリーディングカンパニーです。トップシェアの為、市場拡大の恩恵を最も受ける企業です。リーダー企業はフルライン戦略を取ります。(幅広く商品を取り扱う)
経営資源も潤沢なので、追随する企業の新商品も同質化(真似)して、後追いでフルラインの中に組み込むだけで十分に戦うことができます。
・チャレンジャー
リーダー企業に次ぐシェアを持っている企業です。リーダーと比較して経営資源もお撮りますので、リーダーが真似できないような差別化を行う戦略が必要です。
・ニッチャー
リーダー、チャレンジャーのいない、独自の市場を築いている企業です。
リーダーがあまり力を入れていない市場を見つけ、そこに経営資源を集中する戦略が必要です。
・フォロワー
上記3企業以外の企業で、リーダー企業を模倣して追随する企業です。
しかし経営資源やブランドはリーダー企業に劣っていますので、ニッチャーのように特化する、リーダー企業と協調するなどの戦略が必要です。
●撤退障壁
「負け犬」事業は撤退を検討しなければなりませんが、種々の理由で撤退が難しいケースがあります。
・他の事業に転用が効かない高額な固定資産がある
高額な設備投資を無為にすると清算価値が低くなり大きな減損や実現損失につながる。
・撤退による固定コストが大きい
人員削減が生じる場合は、退職金負担が重いなど。
・戦略的理由
他の部門に悪影響が生じる場合、自社の強みを失いかねない。
・経営者の感情
事業に対する経営者の愛着により個人的・感情的な障壁が生じ撤退判断を阻む。
・政府と社会
撤退による地域経済への影響が大きい場合、政府や地域社会からの圧力を受ける。