経営と情報システムの発展
●情報システムの変遷
・EDPS
情報システムは事務処理の効率化を目的として導入が開始され、EDPSは電子データ処理システムの略で、1960年代頃から導入されました。現代ではEDPSではなく「基幹系システム」と呼ばれています。
・MIS
EDPSは事務処理支援ですがMISは管理者の「意思決定」を支援するシステムです。
EDPSで蓄積した情報を管理者にレポートするシステムになりますが、出せる情報は数量等「定型的」なものであり、売上が落ちた原因など、「非定型的」なデータの提供は出来ませんでした。それを克服したのが次のシステムです。
・DSS
非定型的データの提供を可能にした情報システムです。基幹系システムに対して「情報系システム」と呼びます。
・SIS
SISはDSSから更にレベルアップし、情報システムを経営戦略の実現に活用するものです。
・BPR
SISから更に変革し、情報システムを駆使してビジネスプロセス自体を変える概念です。
・ERP
BPRと連動し、業務やビジネスプロセスの改革に際した情報システムをパッケージングしたものです。
・ISMS
企業が情報を適切に管理し、セキュリティを守るためのマネジメントシステムです。
情報セキュリティ基本方針を策定し、組織の情報資産を洗い出し、各情報資産に対するリスクを分析して評価し、リスクを軽減するなどの対策を行います。
ISMS適合性評価制度は、「JIS Q 27001」に適合しているか審査する制度で、「認証機関」「要員認証機関」「認定機関」からなる仕組みです。
●情報システム導入
・投資評価
情報システムを導入するには当然費用が発生しますので、効果測定つまり投資評価をする必要があります。例えば事務効率を向上するシステムであれば削減した時間や事務コストが成果になります。情報システムの導入と維持にかかるコストを「TCO」と言います。
・TCO削減
TCOを削減する選択肢として「アウトソーシング」や「ASPの利用」、「オフショア開発」があります。
ASPとはアプリケーションサービスプロバイダの略で、インターネット経由で業務アプリケーションを提供する業者もしくはサービスです。
オフショア開発とは人件費が安い海外の企業にシステム開発を委託する事です。
カントリーリスク等国内発注に比べ種々のリスクがあるため、調整役の「システムインテグレータ」を通じて委託することが一般的です。
・SLA
アウトソーシングやオフショア開発に際し予め提供サービスの内容や品質を文書にしたものを指します。
●経営システムの種類
・ERP
先述したように企業の基幹業務を統合的に管理するパッケージのことです。
導入のメリットは既に開発されたシステムのため、開発コストを抑えることができます。また、デメリットとしてERPパッケージの枠にビジネスプロセスを改革し、合わせなければなりませのでボトムアップアプローチでは上手くいかない点や、
ERPに追加機能(アドオン)を加える必要がある場合は開発コストが上昇してしまうこと等です。
・BI
企業に蓄積されたデータを意思決定に利用する仕組みです。
まず基幹系システムで蓄積したデータは「データウェアハウス」というDBに時系列に蓄積・保管されます。
更にウェアハウス上のデータをテーマ別に抽出、作成したものを「データマート」と呼びます。
・OLAP
ウェアハウスやマートに蓄積したデータを分析するツールです。分析方法には深掘りしていく「ドリルダウン」、多次元のデータを区切る「スライシング」、表示される次元を入れ替える「ダイシング」があります。
(スライシングは月毎・週毎で区切るなど、ダイシングはグラフの縦横軸の要素を変更するなど、視点を変えてデータを分析する場合に使用。)
データの中に隠れた因果関係やパターンを見つけるツールです。「ショピングバスケット分析」などがあります。(関連商品がどれくらいの頻度で購入されているかなど)
ソフトウェアをダウンロードするのではなく、インターネット上のサーバに置いておき、ユーザーはインターネットを介してそれを利用することです。
クラウドコンピューティングのメリットは大規模な初期投資が不要なことです。
デメリットはセキュリティ対策等をサービス提供者に任せる形になる為自社でもバックアップを取るなどの対策が必要です。
ちなみにクラウドを使用せず自社でシステムを保有する事を「オンプレミス」と呼び、
プライベートクラウド(特定の企業のみで利用するクラウド)でインフラを自社で持つ事を「オンプレミス型クラウド」、持たない形態を「ホステッド型クラウド」と言います。
・SaaS
ユーザがソフトウェアをサービスとして利用できるようにしたものです。
・PaaS
アプリケーションを稼働させるためのプラットフォームをサービスとして利用できるようにしたものです。
・IaaS
CPU、ストレージ、OSなど、システムを構成するためのインフラをサービスとして利用できるようにしたものです
●オープンソース・ソフトウェア
クラウド化に伴って、ソフトウェアは有償から無償のものへ変化しています。
またオープンソフトウェアの場合自分で改良も可能なのでアドオン費用も安くなります。
しかしながら無償ゆえにサポート体制が充実していないなどのデメリットもあります。
オープンソースソフトウェアには下記のものがあります。
Webサーバ:Apache
DB:MySQL,PostgreSQL
開発環境:LAMP
インターネット普及に伴い企業では大量のデータが蓄積されるようになりました。
これを活用する場面が「B2C」と「M2M」です。前者は顧客ロイヤリティを高める(関連商品の提案など)、後者は機械と機械(需要予測や防災等)に生かされます。
ビッグデータには顧客情報や販売データといった「構造化データ」と、画像や電子メールといった「非構造化データ」があり、ビッグデータは従来活かせなかった非構造化データを活かせるところに特徴があります。
電子掲示板、ブログ、SNSなどを指します。テレビやラジオ、新聞といった古い情報伝達媒体に替わってマーケティングや広報活動に利用されたり、ユーザーの親近感を高めるために活用する事例が多くなっています。
●BYOD
従業員が保有するスマートフォンやタブレットを社内に持ち込んで業務で利用する形態のことをいいます。BYODには、外出先からの社内データ利用による業務効率化などのメリットがある一方で、情報漏えいなどのセキュリティリスクが高まるデメリットがあります。