経営情報システム アルファベット略語集
DAIGOになったつもりで覚えましょうw
CPU:センタープロセスユニット。コンピューターの頭脳。
GPU:グラフィックプロセッシングユニット。画面処理プロセッサ。
VRAM:ビデオRAM。画面処理用のメモリ。
RAM:メモリ。電源消すとデータが消える。
DRAM:主記憶装置。
ROM:メモリ。電源消してもデータは消えない。
VRAM:ディスプレイの表示内容を保持しているメモリ。
PROM:一回だけ書き込みができる読み出し専用メモリ。
EPROM:消去と書き込みを繰り返し行うことができるROM。
SSD:ソリッドステートドライブ。フラッシュメモリを用いた補助記憶装置。
IEEE1394:デジカメを接続するインターフェース規格。
IrDA:赤外線無線通信の規格。
SCSI:外付HDなどに用いられる高速インターフェース規格。
ATA:パソコン内臓ハードディスクのインターフェース規格。
eSATA:ATAを外付けハードディスク向けに拡張した規格。
DVI:映像出力インターフェース。
NAS:ネットワークアタッチドストレージ。LANに直接接続するファイルサーバ。
UNIX:企業向けサーバ。
BIOS:コンピュータの電源を入れたとき最初に起動するプログラム。
CSV:可変長ファイルで区切りがカンマのもの。
ASCII:英数字からなる基本的文字コード。
UTF-8:Unicodeをパソコンで扱うための文字コード。
TIFF:記憶形式の異なる様々な画像を保存できるファイル形式。
MPEG:動画保存に使用。
DBMS:データベースマネジメントシステム。
ROB:リレーショナルデータベース。
OLTP:オンラインでのトランザクション処理のことです。
FLOPS:1秒間に計算できる浮動小数点演算の数。
MIPS:1秒間にできる命令数。
CPI:サイクルパーインストラクション。1命令に必要な周波数のサイクル数。
RAS:情報システムの信頼性評価。
RASIS:RASに完全性と安全性を追加した信頼性評価。
10BASE-T:10Mbpsのスター型のLAN。ツイストベアケーブル。
10BASE-TX,FX:100Mbpsのスター型のLAN。光ファイバーケーブル。
VPN:仮想私設回線網。
NIC:ネットワークインターフェースカード。
LTE:携帯電話の通信規格の一つ。3Gと4Gの中間。
MNO:自社で通信回線、基地局の整備を行う通信事業者。
MVNO:MNOからインフラを借りて事業を行う通信事業者。
ICANN:IPアドレス、ドメインの割り当てをする非営利団体。
OSI:基本参照モデル。
DNS:ドメインネームシステム。ドメイン名からIPアドレスに変換するシステム。
NAT:ネットワークアドレストランスレーション。プライベートIPを変換。
NAPT:IPマスカレード。1のIPアドレスを複数のPCで共有する仕組み。
DHCP:ネットに接続するPCにIPアドレスを自動割り当てするプロトコル。
PPP:2拠点間を相互接続するプロトコル。
LPR:TCP/IPネットワークを通じて印刷を行うためのプロトコル。
RPC:ネットで接続された他のPCでプログラムを実行するためのプロトコル。
SNMP:ネットワーク接続機器の情報収集や監視、制御を行うためのプロトコル。
NTP:ネットワーク接続機器の内部時計を正しい時刻に同期するためのプロトコル。
IDS:不正アクセス検知システム。
WEP:無線LAN規格の暗号化方式。
WPA:WEPの脆弱性を改善したもの。SSID(アクセスポイント)登録が必要。
EDPS:基幹系システム。経営情報処理システム。
MIS:管理者が行う意思決定を支援するためのシステム。
DSS:MISに加えて非定型の問い合わせができるようになったもの。
EUC:業務を行うエンドユーザーが自分自身で情報システムを活用すること。
SIS:情報システムを経営戦略実現に活用するもの。
BPR:情報システムの活用でビジネスプロセス自体を改革する概念。
ERP:BPRをパッケージ化したものでシステム導入とプロセス改革を同時に行う。
TCO:情報システムの導入、維持にかかるコスト。
ASP:アプリケーションサービスプロバイダ。ERPをネット上で利用するための業者。
SLA:情報システムの委託、受託企業が内容を文書化したもの。
BI:企業に蓄積されたデータを意思決定に活用するための仕組み・システム。
OLAP:蓄積データの分析ツール。
EDI:企業間の取引データを電子的に交換するための仕組み。
SaaS:クラウドコンピューティングにおけるソフトウェアサービス。
PaaS:クラウドコンピューティングにおけるプラットフォームサービス。
IaaS:クラウドコンピューティングにおけるインフラサービス。
BYOD:私用端末を社内持ち込みで使用させる。
MDM:端末の遠隔操作や一元管理のための仕組み。
WBS:プロジェクトの作業を階層構造で表したもの。
EVMS:プロジェクトの進捗度を「いくら使ったか」で表す事で管理するシステム。
CoBRA:開発コスト見積手法。属人的な経験などを変動要因として詳細に見積もる。
LOC:プログラムの行数によって開発規模を見積もる方法。
POA:プロセス指向アプローチ。
DOA:データ指向アプローチ。
RAD:プロトタイプを何度も作成して完成品に近づけていく手法。
UDDI:Webサービスを検索する為のシステム。
経営革新・創業支援
●中小企業経営強化法
中小企業の新しい事業活動を支援するための法律です。
この法律には以下の7つの柱があります。
⒈経営革新の支援
・経営革新計画
新事業の計画書を指します。これには下記数値目標の記入が要件となっています。
付加価値額伸び率:計画期間が、3年9% 4年12% 5年15%
経常利益伸び率 :計画期間年数%
計画作成後都道府県知事の承認を受けます。承認後は政府系金融機関からの低利融資、信用保証協会の別枠保証、特許料の減免(審査請求料と特許料10年分が半額)などの支援を受けることができます。
⒉新連携の支援
新連携とは、中核となる中小企業の下で2以上の異分野事業者から構成される連携体で、役割分担が明確化しているものです。
連携体構築後3〜5年間の事業計画を作成します。これは持続的なキャッシュフローの確保、10年以内の融資返済・投資回収をした上で一定の利益を確保できることが要件としています。
計画作成後経済産業局の承認を受けます。承認後は政府系金融機関からの低利融資、信用保証協会の別枠保証、特許料の減免(審査請求料と特許料10年分が半額)などの支援を受けることができます。
さらに経済産業局からの補助金(市場調査、新開発商品の試作などのための資金)も受けることができ、上限は費用の3分の2以内かつ3,000万円以内です。
3.創業の支援
・新創業融資制度
公庫から無担保・無保証の融資を貸付限度額3,000万円で受けることができます。対象は新たに事業を始めるものや税務申告を2期終えていないものです。創業時には創業資金の10分の1以上の自己資金を確認できる必要があります。
・女性若者シニア起業家支援資金
女性、35歳以下、55歳以上で開業から7年以内の人は公庫から融資を受けられます。
中小企業事業:設備7.2億、運転:2.5億
国民生活事業:設備7,200万、運転4,800万
貸付期間は設備20年、運転7年です。
4.技術革新の支援 5.地域における支援
・中小企業技術革新制度
研究開発と、事業化を一貫して支援する制度です。
・地域プラットフォーム整備
地域企業、金融機関、地方公共団体が集まって案件作成につなげていく取り組みです。
6.経営力向上支援
資本金10億円以下または従業員2,000人以下の法人が対象です。
・経営力向上計画
3〜5年の計画で、主務大臣の認定を受けると各種支援を受けられます。
計画の内容は企業概要、現状認識、経営向上指標(3年1%4年1.5%5年2%)、向上の内容を盛り込む必要があります。
7.事業継続力強化支援
BCPの策定による各種支援です。
●小規模事業者支援
・小規模事業者経営改善金融制度
公庫が無担保、無保証人で融資する制度です。貸付対象は宿泊・娯楽業以外の商業サービス業で従業員5人以下もしくはその他業種で20人以下で、商工会の経営指導を6ヶ月以上受けた事業者です。
限度額は2,000万円で、設備10年、運転7年の融資期間です。
・小規模事業者経営発達支援融資制度
対象資金は「設備資金及びそれに付随する運転資金」であり、貸付限度は7,200 万円です。
・小規模事業者持続化補助金
商工会と一体で作成した経営計画に基づく販路開拓等に取り組む費用を補助します。
上限は50、100万(賃上げ、海外展開、買物弱者対策)500万(共同事業の場合)です。
・小規模企業共済制度
中小企業基盤整備機構機構が運営しており、掛金は全額所得控除され、
掛金総額の範囲内で事業資金等の貸付を受けることも可能となります。
経営安定化・各支援制度について
●中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業
各都道府県に「よろず支援拠点」を整備し、経営課題に対して専門家派遣を実施する事業です。また、ポータルサイト「ミラサポ」を通じた経営相談なども行います。
中小企業の連鎖倒産を防止するための共済制度です。
掛金総額800万円までの積み立てが可能で、加入6ヶ月後以降に取引先が倒産した場合、掛金総額の10倍か回収不能債権総額の少ない方の金額借入が可能です。
貸付は無担保、無保証人、無利子ですが借入時に掛金の10%額が権利消失します。
●中小企業強靱化法・事業継続計画(BCP)
企業が災害や火災などの緊急事態に備えた計画で、中小企業BCP策定運用指針を元にBCPを策定します。策定している企業は「防災施設設備融資制度(BCP融資)」を日本政策金融公庫から受けることができます。(計画に基づく施設設備の必要資金についての融資)
親事業者と下請業者のパワーバランスによる不利益から下請業者を守る法律です。
①製造、修理、プログラム作成、運送、保管などの取引の場合
・資本金3億超の法人が3億以下の法人または個人に委託する場合
・資本金1,001万円〜3億円以下の法人が1,000万円以下の法人または個人に委託する場合
②情報成果物作成や役務提供取引の場合
・資本金5,000万円超の法人が5,000万円以下の法人または個人に委託する場合
・資本金1,001万円〜5,000万円以下の法人が1,000万円以下の法人または個人に委託する場合
上記の場合は規制対象となります。
親事業者の規制には義務と禁止行為があります。
・義務
書面交付、発注書類2年間保管、支払期日の設定(60日以内)、遅延利息の支払
・禁止行為
支払遅延、不当減額、不当返品、買いたたき、物・役務の購入強制、報復措置、不当なやり直し
禁止行為があった場合下請業者は中小企業庁や公正取引委員会に相談することができます。
●下請かけこみ寺事業
中小企業の取引に関する悩みを解決する事業です。
ただし取引斡旋、経営、技術、金融、労働に関する相談は除きます。
●下請中小企業振興法
望ましい下請取引について下記の振興基準を定めています。
・親事業者は下請の訪問や面談を欠かさない
・原価低減要請をするとき十分な協議の上経済的合理性を踏まえて行う
・取引対価の見直し要請があった時は労務費などの影響を反映するよう協議する
・金型、木型の保管に関する方法や費用負担を明確に定めること
・支払は可能な限り現金で行い手形割引を下請に負担させないこと
中小企業の再生を支援する協議会です。都道府県ごとに設置されており、再生計画作成の支援を行います。
●再生資金支援
・企業再生貸付制度
公庫が実施する制度で、民事再生法の認可決定前の場合と認可決定後かつ私的整理を行う場合と2パターン存在します。
・再チャレンジ支援融資制度
公庫が実施する制度で、やむを得ず廃業した事業者への再チャレンジ必要資金を融資するものです。
・事業再生保証制度
法的再生中の中小企業が金融機関から融資を受ける際に信用保証協会が保証を行います。
・中小企業再生ファンド
過剰債務などにより一時的に経営悪化しているものの、本来の収益力が魅力的で、再生が可能と判断された企業が投資家からの出資を受け、再生に取り組む方法です。
●事業承継支援
・事業承継税制
平成30年度の改正ポイントとして、「まず売却・廃業清算時の評価額を計算し、承継時の株価を基に計算された納税額との差額を減免する」「対象株式数の上下撤廃と納税猶予割合100%に変更」「5年平均8割未達の場合でも納税猶予継続可能」などがあります。
●新創業融資制度
貸付の限度額は3,000万円(運転資金1,500万円)原則として、無担保、無保証人となっており、代表者の保証も不要。
経営基盤強化
●経営資源の強化
・雇用に関する助成制度
1.雇用調整助成金
景気変動により事業縮小を余儀なくされた企業が休業や出向を行うことで雇用維持をする際に費用の助成を行います。休業手当または賃金相当額の2分の1(中小法人は3分の2)の助成率となります。
障碍者等、就業が困難な人や65歳以上の離職者再雇用支援として出される助成金です。
3.試行雇用奨励金
職業経験の不足などから就業が困難な求職者をトライアル雇用(原則3ヶ月)する場合に支給される助成金で、4万×3ヶ月が限度額となります。
4.キャリアアップ助成金
5.中小企業退職金共済制度
事業者が共済へ加入し、毎月掛金を支払うことで退職金の準備をする制度で、掛金は損金算入でき、全額非課税となります。
●ものづくり支援
・中小ものづくり高度化法
鋳造、メッキ、プレス加工などの「特定ものづくり基盤技術」を促進するもので、経済産業大臣の認定を受けると補助金、低利融資、特許料軽減などの優遇が受けられます。
・戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業)
中小ものづくり高度化法の計画認定を受けた中小企業者や小規模事業者が大学や公設試験研究機関と連携して行う製品開発を支援するものです。
「補助金型」と「プロジェクト委託型」があり、前者は4,500万円(3年間合計で9,750万円以内)、後者は年間1億円以内の補助金が受けられますが、委託型は国が指定するテーマに沿った開発という条件があります。
●IT化支援
・戦略的CIO育成支援事業
ITベンダーの活用がうまくいっていない中小企業者へCIOを派遣し、経営とIT両側面からコンサルティングを行う支援です。CIOは日当17,500円で、派遣期間は半年から1年です。
・J-Net21
中小企業向けポータルサイトで、支援情報や成功事例などの情報をインターネットで公開しています。
●知的財産に関する支援
・INPIT知財総合支援窓口
中小企業の知的財産に関する悩みや課題のための相談窓口です。
・特許料軽減
中小ベンチャー企業、小規模事業等の特許審査請求料、特許料、国際出願手数料を3分の1に軽減する支援があります。
また、国際出願はその他にも費用がかかりますが、これを2分の1以内かつ300万円まで補助する「中小企業外国出願支援事業」も行われています。
・特許情報プラットフォーム J-PlatPat
特許情報の審査状況や公開情報の確認ができるWebサイトです。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/
●国際化支援
・JAPANブランド育成支援事業
地域一丸となって海外で通用するブランドを実現する取組を支援する事業で、商工会、組合、NPO、中小企業が対象となります。
戦略策定支援:マーケットリサーチや基本戦略に関する支援。上限200万円
ブランド確立支援:新商品開発や展示会出展などのサポート。上限2,000万円
●連携・共同化支援
4者以上が集まり、共同で生産、加工、販売事業を行うための組合です。
・企業組合
4者以上が集まり、創業するための組合です。株式会社同様有限責任となります。
・協業組合
既存事業を統合して協業する組合です。合弁と違い、一部事業のみの協業も可能です。
※これら3種の組合は株式会社へ組織変更が可能です。
・商店街振興組合
商店街構成者の30人以上が経済事業、環境整備事業を行うための組合で、法人格を得るため、助成金や融資などの優遇が受けられます。
※その名称中に、商店街振興組合という文字を用いなければなりません。
●高度化事業
中小企業の連携事業への貸付や助言を行う事業です。
中小企業基盤整備機構と都道府県が主体となり、中小企業や商工会、公益法人を融資対象とし、工業団地や物流センター、第三セクターと言われる商店街や技術開発センター等の改善事業です。
なお、貸付にあたっては都道府県が事業計画に対して中小企業診断士などの専門家を通じて診断、助言を行います。
高度化事業貸付の貸付対象は設備資金で、貸付割合は原則として80%以内です。
●地域支援
・中小企業地域資源活用促進法
地域資源による商品開発をする中小企業者を対象に、資金面の補助や商談会・アンテナショップへの出店誘致などの支援を行います。
制度利用にあたって活用事業計画の策定と経済産業局の認定が必要です。
・農商工等連携促進法
中小企業と農林漁業者の連携を支援するもので、費用補助や設備投資の課税特例などの支援を行います。
制度利用にあたって連携事業計画の策定と国の認定が必要です。
政策の基礎・金融機関のサポート
目的:中小企業政策について、基本理念・基本方針を定めるとともに、国および地方公共団体の責務などを規定することにより、中小企業に関する施策を総合的に推進し、国民経済の健全な発展および国民生活の向上を図ること。
・基本方針
①経営革新・創業促進
②経営基盤の強化
③経済・社会的環境変化への適応円滑化(セーフティネットの整備)
④資金供給円滑化および自己資本の充実
●中小企業憲章
・5つの基本原則
1.力を思揮できるよう支援する。
2.起業を増やす。
3.新しい市場を切り拓く挑戦を促す。
4.公正な市場環境を整える。
5.セーフティネットを整備し、安心を確保する。
・8つの行動指針
1.経営支援を充実・徹底する。
2.人材の育成・確保を支援する。
3.起業・新事業展開のしやすい環境を整える。
4.海外展開を支援する。
5.公正な市場環境を整える。
6.金融を円滑化する。
7.地域及び社会貢献できるよう体制を整備する。
8.中小企業への政策を総合的に進め、政策評価に中小企業の声を生かす。
●小規模企業活性法
・2013年9月の改正点
1.宿泊・娯楽業については従業員20人以下の事業者は小規模企業に含まれる
2.中小企業基本法第3条第2項に小規模企業の存在意義と活力の最大限の発揮について規定
3.中小企業法第8条が小規模企業への配慮から小規模起業に対する中小企業施策の指針に変更
●小規模基本法
・基本原則
持続的な発展を図り、事業運営を適切に支援する。
・基本的施策
1.商品・サービスの販路拡大、新事業展開の促進。
2.経営資源の有効な活用および個人の能力の発揮の促進。
3.地域経済の活性化に資する事業の推進。
4.適切な支援体制の整備。
●小規模支援法
1.伴走型の事業計画策定、実施支援のための体制整備
2.商工会、商工会議所を中心とした連携の促進
3.中小企業基盤整備機構の業務追加
●政策実施機関
独立行政法人、中小企業の活性化を行う。
・商工会、商工会議所、中小企業団体中央会
町村区域、市区域、組合・連携の支援。商工3団体と総称。
中小企業への投資を行い自己資本の充実を図る。
・日本政策金融公庫
全額政府出資の金融機関で、一般の金融機関が行う融資を補完する役割があります。
貸出先は主に中小企業者、国民一般、農林水産業者としています。
主な事業に中小企業事業と国民生活事業があり、国民生活事業では最大4,800万円までの貸付を行っています。貸付期間は設備資金であれば10年、運転資金であれば5年です。
政府出資と所属団体の出資から成り立つ金融機関で、一般融資と政策連動融資の特別貸付を行っています。
政府系金融機関の貸出残高は全体の約7%である約20兆円となっています。
●地域金融機関
・地方銀行
一般社団法人全国地方銀行協会の会員であり、その本店所在道府県で最大規模の金融機関であることが多いです。
一般社団法人第二地方銀行協会の会員であり、主たる営業基盤は、地方銀行と同様、その本店所在都道府県です。
・信用金庫
信用金庫法にもとづく会員の出資による協同組織形態の非営利法人であり、営業地域は一定の地域に限定され、大企業や営業地域外の企業・個人には融資ができないという制限があります。
・信用組合
小企業等協同組合法に規定された中小企業等協同組合の一つで、信用金庫と同じく非営利組織ですが、組合員以外の預金の受入が全体の20%以内に制限されている点で異なっています。
★中小企業向けの融資は、民間金融機関の貸出残高は増加傾向、政府系金融機関の貸出残高は減少傾向にあります。
●信用保証制度
信用保証制度は信用保証協会が実施しており各都道府県に1ヵ所ずつのほか、市を単位として横浜市や名古屋市などにも設置されており全国51か所あります。信用保証を受けられる対象は、個人または法人・組合等で事業を営む中小企業者で、信用保証をしてもらうためには、中小企業の経営状態に応じた保証料を信用保証協会に支払う必要があり、保証(代位弁済)限度額は普通保証が2億円、無担保保証が8,000万円、無担保無保証人保証が2,000万円です。
なお信用保証協会が金融機関に代位弁済した場合、日本政策金融公庫から保険金が支払われます。
また、「セーフティ保証制度」では信用保証制度とは別枠で取引先の倒産や災害等によって経営の安定に支障をきたした企業について保証を行っています。
限度額は信用保証制度と同様です。
●セーフティ貸付制度
セーフティネット貸付制度は、経済環境の悪化などにより、資金繰りに困難をきたしている中小企業者に、政府系金融機関(日本政策金融公庫、沖縄振興開発金融公庫)が融資をする制度です。セーフティネット貸付制度には、経営環境変化対応資金、金融環境変化対応資金、取引企業倒産対応資金の3種類の融資制度があります。
●流動資産担保融資保証
売掛債権や棚卸資産を担保にして金融機関から融資を受ける際に、信用保証協会から保証を受けられる制度です。この制度の保証割合は80%の部分保証となっており、融資限度額が2.5億、保証限度額が2億となっています。
●財務サポート
・青色申告制度
個人事業主は青色申告によって最大65万円が所得控除される「青色申告特別控除制度」や、家族専従者の給与を経費参入できる「青色事業専従者給与控除制度」の特典を受けることができます。
・中小企業投資促進税制
資本金または出資額が1億円以下または従業員数1,000人以下の法人では、
取得価格160万円以上の機械装置やソフトウェア、自動車・船舶の設備について取得価格7%の税額控除(個人事業主、資本金3,000万円以下の法人のみ)もしくは30%の特別償却を行うことができます。
・交際費課税の緩和
資本金1億円以下の法人は接待飲食費の50%か定額控除限度額(800万円)までの損金算入かを選択して損金算入ができます。
・エンジェル税制
ベンチャー企業に投資する個人投資家のリスク軽減の為、優遇措置として投資時に所得税の控除、株式売却時に株式譲渡益の控除のいずれかを選択することができます。
ベンチャー企業の要件として設立3年以内の中小企業者で、子会社でない未上場の株式会社である必要があります。
小規模事業者の動向
●小規模事業者の収益について
売上高は2017年以降強含みで推移しており、経常利益についても増加基調にあります。
設備投資に関しては2015−2017年の間は落ち込みましたがその後増加基調となっています。
●企業数
電気・ガス・水熱業は増加傾向、その他の業界は減少傾向にあります。特に小売業は全体に占める割合が大きいため、減少率増加の大きな要因となっています。
小規模事業経営者は319万者から198万者と約60%まで減少しています。
特に小規模事業法人ではなく、個人事業主の減少が顕著です。
ちなみに、中小企業全体に占める小規模事業者の割合は約6割となっています。
また、従業者数が0-5人の小規模事業者は全体の約8割を占め、そのうちの4割が1984年以前に創業しています。
小規模企業の企業数は小売業、従業者数では建設業の割合が最も高くなっています。
●個人事業者数
個人事業者数は小規模企業数全体の約6割を占めています。 また、小規模企業を常用雇用者の有無別に見た場合、「常用雇用者無し」の企業数が、「常用雇用者有り」の企業数を上回っています。
●フリーランス、副業起業家
現在フリーランス人口は約440万人と言われており、就業者全体人数の約7%となっています。特に2007年ー2017年の間に49歳以下のフリーランス増加数が顕著であり、
女性のフリーランスが約14%増加しています。
・フリーランスの需要
特にフリーランス需要が高まっている分野として「経営・ビジネス系」「クリエイター、アーティスト系」「ITエンジニア系」があります。
●危機管理
小規模事業者のBCP策定状況は約2.2%と、中規模企業の約17%を大きく下回っています。
●資本
企業規模別に見た場合、小規模企業の資本装備率は中規模企業と大企業より低く、小規模企業の資本生産性は低下傾向にあるものの、中規模企業・大企業と比較して高く、規模間格差は縮小しています。
●小規模事業者持続化補助金
小規模企業の販路開拓等に関する支援のための補助金です。
事業承継・次世代の経営者
●経営者の高齢化、引退について
1995年の経営者平均年齢が47歳だったのに対し2018年には69歳に上がっています。
今後更なる経営者高齢化に伴い事業承継・廃業の件数は増加すると考えられます。
・経営資源
経営資源には人材、資産、知的資産がありますが、親族内承継の場合は贈与税、
役員・従業員承継の場合は承継資産の対価、
社外への引継ぎ(M&A)の場合は資産の限定的な承継という理由から全ての経営資源を承継しないケースが見受けられます。
(ちなみに全部資産を承継する割合は約6割となっています。)
・事業承継の実態
過半数以上は親族承継で大半が子供(男子)への承継となっています。
対して親族外承継は3割超に増加傾向となっております。
・後継者教育
経営者が後継者に最重視するのは「経営に対する意思、覚悟」で、
親族内承継の場合は同業他社での勤務経験、
役員・従業員承継の場合は経営者からの直接教育、
社外への引継ぎの場合はノウハウ教育や取引先への顔つなぎが最も効果的な後継者教育であったと感じているそうです。
・経営者交代の影響
30代、40代の経営者へチェンジすると売上成長率を押し上げる効果が確認出来ているようです。一方50代の場合は効果を有意に確認できないそうです。
・引退前の経営者の状況、取組
引退の相談相手は会計士、税理士、金融機関担当者が多い傾向にあります。
また後継者探しには金融機関、事業引き継ぎセンター、商工会議所の利用があります。
●次世代の経営者
・経営者の参入
経営者の参入方法には事業承継と起業があり、起業には経営資源引継ぎの有無によって2種に区別されます。
・起業について
日本では2007年以降起業希望者、準備者、起業家といった「起業活動家」のいずれの人数も減少傾向にあります。世界的に見てフランスに次ぐ2番目の低水準となっています。一方「副業」として起業する人や準備者の人数は増加しています。また、起業家や後継経営者は「女性」の割合が増えています。
また起業無関心者の割合も一定して高水準な日本ですが、起業関心者が起業活動家となる割合は中国、アメリカに次いで3番目となっており、検討している業種はサービス業が多い傾向にあります。
・起業家の悩み
創業期は資金調達、成長期は人材確保に悩む起業家が多い傾向にあります。
・経営資源の承継
起業後の成長意向が高い程経営資源の承継を希望しておりますが、実際には経営資源を承継せず起業した起業家が約6割に対し、経営資源の承継はせずに起業したいという起業準備者は約3割となっています。
・急成長企業の傾向
売上高急成長企業において非製造業の場合は三大都市圏の企業の方が三大都市圏外企業に比べて割合が多くなっています。製造業はエリアに特段制約を受けない傾向にあります。
逆に雇用急拡大企業においては製造業の場合三大都市圏外の方が割合が多くなっており、非製造業はエリアに特段制約を受けない傾向にあります。
●経営者に求められる自己改革
・事業所、各種リソースについて
中小企業において人口密度は労働生産性に比例することから事業所規模と従業員数のバランス感覚が求められます。大企業は人口密度が労働生産性との関係性を持っていませんが、中小企業が大企業に比べてIT化について遅れをとっているという見方も出来ます。また、中小企業は大企業と比較してSNSの活用状況やIOT、AIの活用関心度についても差が開いている傾向から見ても、労働生産性が属人的になっている傾向にあります。
・危機管理
中小企業経営者の事業にまつわるリスクの把握は十分に進んでいない傾向にあります。
特に自然災害への備えは半数以上が未対応と回答しており、設備等のハード面、従業員等のソフト面双方において改善が必要とされています。
損害保険や火災保険は約9割が加入済みとの回答ですが、BCP(システム障害など、危機的状況下に置かれた場合でも、業務継続できる方策や戦略を記述した計画書)の策定率は17%に留まっています。
・人材育成・能力開発の課題
教える側の人材不足は規模の大きな企業ほど回答割合が高く、教えられる側の人材不足は規模の小さな企業ほど回答割合が高いです。
・生涯現役起業支援助成金
対象は40歳以上の起業家で、雇用創出のための募集・採用や教育訓練に関する計画を提出することで助成金を受ける事ができる制度です。