企業とは
●企業の活動
企業の活動とは資源を調達し、付加価値を加えて(利益をのせて)、市場で販売する事です。
例えば牛さんからお乳を絞り、成分調整やパッケージング等を経て、スーパーに牛乳が並ぶといった流れの中でも酪農家・成乳工場・卸売・小売といった具合に川下(かわしも)に行く過程で各企業は利益を得ています。
サービス業などで良く言う「中間マージンのカット」は川下に行く過程の企業をカットする(酪農家が成乳して瓶に詰めて消費者に売る)という意味合いです。
●企業の前提
企業には様々な使命や目的がありますが、大前提として「継続する必要がある」という意味の言葉です。
広義は企業会計をするにあたって、10年後、100年後も企業は存続する前提で会計処理を進めていくという事です。
・オープンシステム
企業は市場、つまり「外部環境」とやり取りをして存続している、つまりオープンシステムであるという意味です。資源供給者と消費者がいなければビジネスは成り立ちません。打ち出の小槌でもない限り・・・
●経営活動の構成
経営理念→ビジョン→環境分析(競合他社・マーケット・内部環境)
→経営戦略(企業戦略→事業戦略→機能戦略)→経営計画
の順番で経営活動は作られます。
・経営理念
企業の存在意義や目的を表します。経営理念は社員のモチベーションを高め、日々の業務の判断指針となり、社員間のコミュニケーションベースとして役立ちます。
例えば、「とにかく不動産売りまくってたくさん儲けましょう!」なんていうのは経営理念とは言いません。モチベーションは上がる人もいるかもしれませんが、(?)
判断指針としては脆弱で危険です。
(上記の経営理念を鵜呑みにするとコンプライアンスより目先の利益を優先してしまいそうですよね。。)
・ビジョン
存在意義を決めたら次は「企業の理想像」を思い描きます。これがビジョンです。
「10年以内に業界トップシェア」とか言う具合ですね。
・経営戦略
企業は前述の通りオープンシステムですから、外部環境に「対応」しながらビジョンを「達成」するために経営戦略を練ります。
企業戦略は企業全体の戦略です。自社の事業やリソースを最大限に活かし、ビジョンに近づくにはどうしたらいいかを考えます。
これを細分化したものが事業戦略です。個別の事業ごとに、競合他社とどのように戦っていくのかを考えます。企業戦略・事業戦略を円滑にするためには機能戦略も欠かせません。こちらはマーケティング・人事・財務といったバックオフィスの機能に関する方針を考えます。
・経営計画
経営戦略に5W1Hを付加したモノが経営計画になります。責任者や期限を決めてより具体的なモノになります。経営計画には短期(1年)中期(3年)長期(5年超)があります。
●経営計画の見直し
・ローリングプラン
毎年計画の見直しをかける決まりの下、運用する経営計画。
不測事態に備えた計画。シャドープランとも呼ぶ。
★コンティンジェンシープランは不測事態「発生後」の「復旧計画」です。
似た概念で、想定できる危機的事象に対して、事前に発生抑制や防止策を検討するのは「リスク・マネジメント」、不測の事態に対して、事前に発生抑制や防止策を検討することが困難なモノを予め認識しておくことは「クライシス・マネジメント」です。
・分析麻痺症候群
見直しやデータ分析に固執しすぎてしまう事で行動に移すスピード感がなくなり、経営陣と現場社員の間に溝が生まれる現象です。
(私は独立前に中堅企業からベンチャー企業へ転職をしておりますが上記症候群が無くなりストレスから解放されたのを覚えています。笑)
ビジョンが確立され、経営戦略策定前に行う「環境分析」の主流となる手法です。
自社の内部環境「強み・弱み」を分析したのち外部環境「機会・脅威」を分析し、4要素のマトリクスを作成して「強みを機会に生かす」「弱みを克服し機会に生かす」
「強みを活かして脅威の影響を軽減する」「弱みに対する脅威なので撤退する」
の4つにカテゴライズします。
強み、弱みとは自社の経営資源(ヒト・カネ・モノ・ノウハウ・ブランド)といったもので、機会は顧客、脅威は競合他社であり、そこに経済動向、政治動向を加味して分析します。
こうした環境分析を経て経営戦略へ移るわけですが、内部環境(経営資源)を重視するアプローチを「リソースベース型」、外部環境を重視するアプローチを「ポジショニングベース型」と言います。
●VRIO分析
内部環境(経営資源)を分析する際に競合力と持続性を持った経営資源なのかを分析する手法です。
その経営資源は経済的価値があるか、希少性はあるか、模倣困難性は高いか、それを生かす組織能力はあるか、の4要素を診て分析していきます。
他にも経営資源を評価、分析する視点があります。
・経路依存性
経験の積み重ねが無いと蓄積が出来ない経営資源は経路依存性が高いです。
・因果曖昧性
競合から見て、模倣対象の企業の経営資源と競争優位の因果関係が分かりにくい経営資源は因果曖昧性が高いです。(模倣困難性が高いとも言い換えられます。)
自社の中核となる経営資源であり、模倣困難性が高く、さらに汎用性があるもの(新規事業展開に役立つ)を指します。
・ケイパビリティ
スピードやクオリティ、サービスの良さなど企業の優れた組織能力を指します。
業績評価手法の1つで、以下の4分野から評価を行います。
・財務の視点
財務的業績の向上のために、株主に対してどのように行動すべきか
・顧客の視点
戦略を達成するために、顧客に対してどのように行動すべきか
・業務プロセスの視点
株主と顧客を満足させるために、どのような業務プロセスを実施することが求められているか
・学習と成長の視点
戦略を達成するために、どのようにして変化と改善のできる能力や環境を維持するか