原価計算
●原価の構成
・製造原価
直接材料費、労務費、経費及び間接材料費、労務費、経費を合計したものです。
・直接材料費
製品の部品など、製品に直接結びつく材料費です。
・直接労務費
製造ラインで働く人々の給料等です。
・直接経費
外注加工費など、製品に直接結びつく経費です。
・間接材料費
工場消耗品など、製品と直接は結びついていない材料費です。
・間接労務費
工場長の人件費などです。
・間接経費
・総原価
製造原価に販管費を足したものです。ここに営業利益を加えると販売価格となります。
●非原価項目
・経営目的に関連しない価値の減少
支払利息などの財務費用、有価証券の評価損・売却損
・異常な状態を原因とする価値の減少
異常な仕損・減損・棚卸減耗、火災・震災・風水害・盗難等による損失
・その他の利益剰余金に課する項目
法人税・所得税・都道府県民税・市町村民税や、配当金、役員賞与金、任意積立金繰入額、建設利息償却など。
●製造原価報告書
・材料費の計算
期首材料棚卸高+当期材料仕入高−期末材料棚卸高
・労務費
当期労務費のうち製造原価に関わる部分のみを計上。
・経費
当期経費のうち製造原価に関わる部分のみを計上。
→これらを集計して「当期総製造費用」を算出します。
・当期製品製造原価
当期総製造費用から仕掛品(未完成品)の分を除いて求めます。
期首仕掛品棚卸高+当期総製造費用−期末仕掛品棚卸高
●個別原価計算
個別の製品ごとに原価計算をする方法で、主に受注生産形態に採用されます。
個別原価計算では「製造指図書」を発行し、製品毎に直接費を負担させます。(賦課)
また間接費については全製品に一定の基準で割り振ります。(配賦)
●部門別原価計算
1次集計
製造間接費を部門個別費と部門共通費分類後、各部門で集計し、部門個別費は各部門に直接賦課、部門共通費は適切な配賦基準によって各部門に配賦します。
2次集計
補助部門費を製造部門に「直接配賦法」または「相互配賦法」により配賦します。
「直接配賦法」では、配賦計算を簡便にするため補助部門が他部門に対して提供したサービスは無視し、製造部門だけにサービスを提供したとみなして配賦計算を行います。
一方、「相互配賦法」では他部門へのサービスも加味して配賦計算を行います。
●総合原価計算
製品全体の直接材料費とそれ以外に分けて集計する方法で、主に大量生産形態に採用されます。それ以外の原価は「加工費」と呼ばれ、「進捗度」に合わせて発生するという考え方になります。(つまり未完成品についての加工費は含みません。)
完成品と期末仕掛品を合計し、期首仕掛品を差し引くことで当期投入分の金額を算出します。それにあたり期末仕掛品原価を算出する必要がありますが、これには3種類の方法があります。
①先入先出法
期首仕掛品を先に完成させ、その後当期投入分を製造するという考え方です。
②後入先出法
先に当期投入分を完成させ、その後に期首仕掛品を製造するという考え方です。
③平均法
当期投入、期首仕掛品が均等に製造されていくという考え方です。
●標準原価計算
先に「原価標準」(製品一個あたりの標準的な原価)を設定し、実際の数字と照らし合わせて「原価差異」を計算する方法です。コストカットの為のPDCAに使用されます。
原価標準は材料費、労務費、間接費と各々設定します。
材料費は標準消費量と標準価格を算出、
労務費は標準労働時間と標準賃率を算出、
間接費は総額を1ヶ月の操業時間で割り、標準配賦率を算出します。
あとは原価標準から実際原価を差し引き、プラスであれば有利差異、マイナスであれば不利差異となります。
●直接原価計算
費用を変動費と固定費に分けて損益構造を明確にする為の計算方法です。
変動費とは生産量に比例して増加する費用で、固定費とは生産量に関わらず一定で発生する費用です。また、販売費用も変動費と固定費に分けます。
売上高から変動費と期末製品棚卸高を差し引いて「変動製造マージン」を出します。
さらに変動販売費を差し引くと「限界利益」が出ます。ここから固定費を引いた額が営業利益となります。