財務諸表
企業が作成を義務付けられている財務諸表には4つあります。
貸借対照表、損益計算書、株主資本変動計算書、個別注記表です。
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I:貸借対照表
貸借対照表を見る事で企業の資金調達源泉とその運用状態が分かります。
つまり、自分のお金(純資産)と借りたお金(負債)をどの様に運用しているか(資産)を一目瞭然にしたモノです。
●資産の部
・流動資産
有価証券(売買目的)、棚卸資産(商品、製品、原材料、仕掛品)
短期貸付金(1年以内に回収予定の貸付金)、経過勘定(前払費用、未収収益)
・固定資産
①有形固定資産
土地、建物、車両運搬具、建設仮勘定(新築予定の建物)があります。
土地と建設仮勘定以外は償却資産(毎年価値が減っていく資産)なので減価償却が行われます。
②無形固定資産
のれん、ソフトウェア、知的財産権などがあります。
のれんとは企業を買収した金額と、買収した企業の純資産の差額を指します。
ソフトウェアや知的財産権は取得費用から償却額を差し引いて表示されます。
※受注制作のソフトウェア:制作費は、請負工事の会計処理に準じて処理され、無形固定資産に計上されません。
③投資その他の資産
関係会社株式、投資有価証券(流動資産と関係会社株式以外の有価証券)、長期貸付金(回収に1年以上かかる貸付金)があります。
・繰延資産
会社の創立費や開業費といった長期に渡って効能のある費用は1期限りでなく複数期で費用計上しますので、一度満額を資産の部に計上するという考え方です。
●負債の部
・流動負債
買掛金、支払手形、短期借入金、経過勘定(前受取益、未払費用)
・固定負債
●純資産の部
・株主資本
資本金、資本準備金(株主の払込金のうち資本金に繰り入れられなかった金)
その他資本剰余金(資本準備金の取り崩しや自己株式を処分した剰余金)
利益準備金(その他資本剰余金から配当を行った後の残金)
その他利益剰余金(任意積立金、繰越利益剰余金)
自己株式(自社株式の自社持分)
があります。
予め決められた金額で株式を取得できる権利です。
●貸借対照表のルール
資産、負債の部で流動資産及び負債、固定資産及び負債の「流動・固定」の線引きがあやふやにならない様に2つのルールがあります。
通常の営業サイクルで生じる資産や負債は流動に分類するというルールです。
②一年基準
貸付金、借入金の長短も同じですが、1年以内に決済期日が到来するものは流動に分類するというルールです。
II:損益計算書
損益計算書を見る事でいくら儲かったのか、つまり経営成績が見られます。
売上高−売上原価
安く仕入れて高く売れたかを表す数字ですので、「商品力」を表します。
・営業利益
販管費とは広告宣伝費と人件費、事務所の家賃などです。また、減価償却費や貸倒引当金も含まれます。「営業活動の実績」を表します。
・経常利益
営業利益+営業外収益−営業外費用
本業と関係ないところでの儲けや損を加味したのが経常利益です。受取利息や支払利息、有価証券売却損益などが含まれます。つまり、資金調達費用も含めて計算した利益を表しています。
経常利益+特別利益−特別損失
特別利益/損失とは例外的に発生する損益です。固定資産の売却益や売却損、災害損失などがあります。
税引前当期純利益から法人税と住民税及び事業税を引いた金額です。
また、前期繰越利益を加えると「繰越利益剰余金」となります。
●損益計算書のルール
収益と費用の認識基準というものが設けられており、下記の3つに分類されます。
・現金主義
実際にお金が入ったり出たりしたタイミングで収益・費用として認識する主義です。
企業間取引は売掛、買掛と「企業間信用」に基づいて取引されているので現金主義は使えません。
・発生主義
「費用」は発生主義に基づいて計上します。つまり「払う時」ではなく「払わなければいけない事が確定した」タイミングで計上するという事です。
・実現主義
「収益」は実現主義に基づいて計上します。つまり「債権が発生した時」ではなく「発生した債権の回収が確定した」タイミングで計上するという事です。
III:株主資本等変動計算書
貸借対照表にある「純資産」の変動状況を表します。
(株主も純資産総額だけではなく、増減の内訳まで知りたいですよね。)
この計算書は冒頭に期首残高があり、間に変動額内訳、最後に期末残高という構成になています。