システム構成とネットワーク
●情報システムの処理形態
・OLTP
取引の度にリアルタイムで処理する方式です。銀行のATMやネット通販などがOLTPにあたります。ATMであれば預金の引き出しが「完了するまで」の一連の処理を「トランザクション」と呼び、トランザクションは一連の処理が全て成功した場合のみ処理を完了します。(一部でも失敗があった場合は全ての処理が解除されます。)
一定期間の処理を一括で行う方式です。夜間のデータバックアップなどが該当します。
トランザクションが多くなるとシステムの性能が低下しますので日中はOLTP、夜間はバッチ処理と使い分けた方が効率的です。
・集中処理
中心のホストコンピューターが全ての処理を行う方式です。
・分散処理
複数のコンピューターで分散して処理する方式です。代表的なものに「クライアントサーバシステム」があり、パソコン(クライアント)とサーバから構成され、
サーバ→クライアントの2階層システムと、DBサーバ→アプリケーションサーバ→クライアントの3階層システムがあります。後者の場合、クライアントはWEBブラウザから処理要求をするのみのため、ソフトウェアのインストールが不要となり、管理が楽になるメリットがあります。
●情報システムの性能
性能の評価指標には下記のものがあります。
・レスポンスタイム
処理要求をしてから処理が開始されるまでの時間。
・ターンアラウンドタイム
処理要求をしてから全ての処理結果が出力されるまでの時間。
単位時間あたりの処理件数。
・FLOPS
1秒間に実行できる浮動小数点演算の数。
・MIPS
1秒間あたりの実行できる命令数を100万単位で表したもの。
●RAS
情報システムの信頼性を評価する指標です。
R:信頼性 A:可用性 S:保守性を意味します。
・信頼性
信頼性とは如何に故障しないか、を表します。
これを測定するのがMTBF(平均故障間隔)で、下記の公式で求めます。
MTBF=合計稼働時間÷故障回数
・可用性
可用性とは常にシステムが利用できるか、を表します。
これを測定するのが稼働率で、下記の公式で求めます。
稼働率=合計稼働時間÷運用時間
・保守性
保守性とは故障した際如何に早く回復できるか、を表します。
これを測定するのがMTTR(平均修理時間)で、下記の公式で求めます。
MTTR=合計修理時間÷故障回数
また、MTBFとMTTRを使って稼働率を求めることも可能です。
RASに、I:完全性 S:安全性を加えてRASISと呼ばれることもあります。
完全性とはシステムの正確さ、安全性とは不正アクセスをされないことを表します。
●信頼性に関する取組み(フォールトアボイダンス)
・フェールセーフ
故障や障害が発生した時にシステムを安全な方向に動作させる設計概念です。
故障発生時に処理を中断することなく機能を維持するシステム構成方法です。
フェールソフトと違い「機能の低下」もさせずに、継続させるシステムです。
・フォールバック
故障や障害が発生しても「限定的」にシステムの稼働を継続している状態です。
●障害対策
代表的なシステム障害対策に下記のものがあります。
・バックアップ
障害に備えて別の媒体にデータをコピーしておくことです。
バックアップには都度全てバックアップをとる「フルバックアップ」と、
前回のフルバックアップの差分だけをバックアップする「差分バックアップ」、
バックアップ形態を問わず前回バックアップとの増分のみをバックアップする「増分バックアップ」があります。
ハードディスクを二重に持つ構成です。
・デュプレックスシステム
2つのシステムを用意し、片方は業務の運用、もう片方はバッジ処理などを行わせて待機させ、障害発生時に切り替えて対応します。
・デュアルシステム
両方で同じ処理を行わせ、障害が発生した方を切り離します。
分散データベース間でデータベースの一部または全部を複写する機能です。
レプリケーションにはデュプレックスシステムのように片方を待機システムにし、未稼働状態にする「コールドスタンバイ」と稼働状態にする「ホットスタンバイ」があります。
分散データベースではなく物理的に複数のコンピュータを相互接続して1台のコンピュータとして成立させる方法です。障害を起こしたコンピュータを他のコンピュータで補います。
●ネットワーク
・通信回線
アナログ回線:従来の電話回線のようなアナログ信号回線です。回線速度を向上した「ADSL」もアナログ回線の一種です。
デジタル回線:専用回線を使用する必要がありますが高速です。代表的な方式に「ISDN」があります。また最近では「光ファイバー(FTTH)」も増えています。
・通信速度
通信速度はbps(ビット秒)で表します。
ファイルのサイズはByte(バイト)で表します。
●LAN
企業外部とのネットワークを「WAN」、内部のネットワークを「LAN」と呼びます。
・接続形態(トポロジ)
LANと機器の接続形態には「ハブ」を中心に接続する「スター型」、1本の直線ケーブルに各々接続する「バス型」、リング状のケーブルに各々接続する「リング型」があります。スター型はハブが故障した際全体が停止してしまうリスクがあります。
LANの中で最も主流な規格で、一番使われているのが「10BASE-T」という規格です。
これは10Mpsのスター型のLANになります。
イーサネットでは2つの端末が同時にデータ送信した際にデータが衝突し、送信できないことがあります。そこで「CSMA/CD」というアクセス制御方式を使って再送信が可能となっています。また、衝突を未然に防ぐ「トークンパッシング方式」というアクセス制御方式もあります。
・接続機器
ネットワークインターフェースカード:MACアドレスが割り当てられており、これを内蔵した端末はコネクタにケーブルを挿し込むことで物理的にネットワーク接続が可能です。
ケーブル:ケーブルには銅線を寄り合わせた「ツイストベアケーブル」や、ガラスやプラスチックで出来た「光ファイバーケーブル」があります。また、LANケーブルにはコンピュータと外部機器を繋ぐ「ストレートケーブル」と、コンピュータ同士を繋ぐ「クロスケーブル」があります。
●ハブ
ハブには複数のケーブルを束ねる役割があります。ハブに挿し込むケーブルの受け口を「ポート」と呼びます。
・リピータハブ
ハブに来た全データを全端末(全ポート)に流します。
各端末のMACアドレスを記憶しているハブで、宛先の端末のみにデータを流します。
これによってリピータハブと比較してデータの衝突が少なくなり、伝達速度が向上します。
・カスケード接続
ハブ同士を接続してポートを増やす接続方法です。
・ルータ
ルータはインターネットとLANや、異なるLAN同士を接続する機器です。
文字通りケーブルを使わないLANです。機器同士を直接繋ぐ「アドホックモード」と、
「アクセスポイント」を介して機器同士を繋ぐ「インフラストラクチャーモード」があります。
●ping
TCP/IPネットワークにおいて、相手先ホストと通信できるかを確認するコマンドで、IPアドレスやホスト名を指定すると、応答にかかった時間が確認することができます。