店舗の立地と設計
●立地条件
店舗の立地は人口、駅からの距離、店舗の賃料など要素は様々ですが、販売する商品によっても適正な立地は変わります。
例えばコンビニやスーパーといった「最寄品」を扱う店舗は住宅街の近くに立地することが望ましいのに対し、
ホームセンターの様に「買回品」を扱う店舗はロードサイドに立地していることが多いです。
店舗が集客できる範囲を「商圏」と呼び、ライリーという人は1つの街を取り巻く2つの商圏(都市)があった場合、その都市へ流れる購買金額は都市の人口に正比例し、距離の2乗に反比例すると示しています。
●商業集積
商業集積形態には以下のものがあります。
・商店街
商店街の機能には利便性、安全性、快適性、情報性、娯楽性、文化性、コミュニティ形成があります。
・共同店舗
複数の店舗が集まってテナントビルを形成する商業集積です。複数の事業者による協同組合だったり、合弁会社であるため運営が難しいという側面があります。
・ショッピングモール
デベロッパーが施設の開発、設計を行ってテナントを誘致する商業集積です。
ショッピングモールにはアウトレットモール、パワーセンター、ホールセールクラブ、ハイパーマーケットなどがあり、パワーセンターとはユニクロやヤマダ電機の様なカテゴリーキラーと呼ばれる大型店を集めたショッピングモールです。
●店舗設計
店舗設計にあたり、店舗の機能を認識しておく必要があります。
店舗の機能には訴求機能、誘導機能、演出機能、選択機能、購入促進機能、情報発信機能があります。
・販売形態
販売形態として下記のものがあります。
対面販売:ショーケースを挟んで顧客と対面で販売する形態です。
側面販売:顧客と並んで説明しながら販売する形態です。
セルフサービス:顧客が自分で選んでレジなどで精算する形態です。
セルフサービスは運営コストが低い分、万引きなどの商品ロスのリスクが上がります。
・店舗外装
ファサード:店頭、店舗正面の外観。
パラペット:ファサード上部。ここに設置されている看板をパラペット看板と呼ぶ。
・出入口
出入り口の設計は開放感と透視度を考慮することが重要です。
開放感とは出入り口の幅の広さなど店頭部の広さの度合いです。
透視度とは店舗外部から店内をどれくらい見られるかの度合いです。(開放度とも言います。)
・レイアウト
店舗内のレイアウトでは第一に「導線の確保」が重要です。導線には客導線、従業員導線、商品導線があり、客導線はなるべく広く長く、他2つはなるべく短くコンパクトに、いずれの導線もなるべく被らないようにすることが重要です。
客導線がスムーズに入口から出口まで流れるように制御する事を「ワンウェイコントロール」と言います。
ゾーニングとはグルーピングした商品を売り場に配置する事です。
ゾーニングのポイントは関連購買を促進するよう商品が横に関連していく陳列順番に並べる事や、入口付近から店内最深部にかけて徐々に価格が高くなるように陳列する事(心理的抵抗を和らげるため)などがあります。
・什器
什器とは商品を陳列する棚などの器具です。以下のものがあります。
ショーウィンドウ:歩行者の注意を引きつけます。(訴求効果)
ステージ:重点販売商品を目立たせるために床より高いスペースを設けます。
ショーケース:コンビニの飲料水やスーパーの冷凍食品コーナーに使われています。
バックヤードから補充する事を「ウォークインケース」、前から補充する事を「リーチインケース」と呼びます。
・照明
照明で扱う単位は下記になります。
ルーメン:光束。照明から発する光の明るさ。
ルクス :照明によって照らされている面の明るさ。
ケルビン:色温度。暖色系、寒色系のコトです。高いと青白く、低いと赤くなります。
●店舗関連法律
都市計画法、大規模小売店舗立地法、中心市街地活性化法を「まちづくり3法」と呼びます。
大規模小売店の出店の際に、周辺地域の生活環境の保持をするための法律で、店舗面積が1,000平方メートルを超える店舗で、飲食店を除く小売業が対象となります。対象となる店舗に対しては、地域住民への説明会の開催が義務となっています。
中心市街地を活性化するための法律で、下記の仕組みとなっています。
1.国が、中心市街地活性化の基本方針を作成。
2.各市町村が、基本方針を基に、中心市街地を定めて基本計画を作成。
3.市町村や民間業者が、基本計画を基に、市街地整備や商業活性化などの事業を推進。
4.国による、各種の支援措置。
★2006年の改正ポイント