労働関連法規
今回の内容はサラリーマンなら常識(?)の労働関連法規です。
言葉のあやで就業規則や契約書を交わそうとしてくる悪徳企業に入社しないためにもしっかり学習しましょう!
●労働条件
労働条件の決定順序(優先度)ですが、まず労働基準法が存在し、続いて労働協約、就業規則、労働契約の順に効力があります。
・労働協約
労働組合と使用者の間で結ぶ協約です。
・就業規則
従業員のルールブックです。10人以上の従業員を擁する使用者は就業規則を作成の上、労働監督基準署長へ届け出る義務があります。
就業規則の記載事項として、労働時間、賃金、退職に関する事項(絶対的事項)と絶対的事項に付随する事項(相対的事項)と任意的事項の3種があります。
・労働契約
労働者と使用者の間で結ぶ契約です。当然ですが書面にて、賃金や労働時間などの労働条件を明示する義務があります。
●労働時間
・法定労働時間
基本は1日8時間、週40時間以内が法定労働時間ですが、例外として10人未満の労働者数で、小売・卸売、映画・演劇、病院、旅館、飲食業は44時間までの法定労働時間が認められています。
・変形労働時間制
毎日ピッタリ8時間、週でピッタリ40時間を厳守して仕事をするのはあまりに非現実的かつ非効率的です。
そこで、1週間、1ヶ月、1年単位の週あたりの労働時間が40を超えなければOKという変形労働時間制も認められています。特に最近増えているのは1ヶ月単位かつ始業、終業時刻を自由に決定できるフレックスタイム制です。
・休憩
1日の労働時間が6時間を超える場合は45分、8時間を超える場合は1時間以上の休憩をさせる義務があります。
・休日
休日は少なくとも週に1日与える必要があります。
・時間外労働
残業をさせる場合労使協定(36協定)を結び、労働基準監督署長に届け出る必要があります。
(だからタイムカード切ってからサービス残業しろと毎日言われてたんですね。。笑)
・みなし労働時間
全社員が1日中オフィスでパソコンに向かっていれば労働時間のカウントがしやすいですが、そうもいきません。みなし労働時間制は2種類あります。
事業場外労働:営業マンの外回り
裁量労働:就業時間を固定しない方が効率的な場合に採用。
(専門業務型、企画業務型)
年次有給休暇を与える事は使用者の義務となっており、6ヶ月以上継続して勤務しており、労働日の8割以上を出勤したものに対して10日間付与する必要があります。
また、使用者には時季変更権があり、有給取得時季が事業に支障をきたすと判断した場合、時季の変更を促すことが可能です。
●解雇
労働基準法では解雇時季の制限を設けており、業務上の負傷、疾病の休業期間や復帰から30日間、産休終了後の30日間の間に解雇する事はできません。
また、使用者は解雇の30日前に労働者へ予告をするか、30日分以上の賃金を払わなければならず、かつ合理的な理由がなければ解雇できません。
ただし、天変地異などのやむをえない事情や労働者の責で解雇する場合、解雇予告は不要です。
●賃金
賃金の支払い方法には5原則が存在します。通貨払いの原則、直接払いの原則、全額払いの原則、毎月1回払いの原則、一定期日払いの原則です。
・割増賃金
時間外労働は25%、休日労働は35%、深夜労働は25%の割増賃金を支払う必要があります。
●労働組合法
労働組合とは労働者で組織されるもので、使用者との交渉をするための組合です。
使用者は労働組合を妨害したり、不当な扱い(不当労働行為)を禁止されています。
不当労働行為には、
不利益な取り扱い:労働組合に加入した労働者を解雇したり賃金を下げたりする行為
黄犬契約の締結 :労働者が労働組合に加入しない事を条件とする雇用契約
団体交渉拒否 :労働三権の団体交渉権を使用者が拒否する事
支配介入・経費援助:使用者が組合の運営に介入・援助する事
があります。
●労災保険
労災保険は従業員を1人でも雇用していれば加入義務が発生します。これにはパート・アルバイトも含まれています。労災保険によって保障される災害には業務災害と通勤災害があり、業務災害は業務中のケガや病気、通勤災害は通勤中の災害です。
●雇用保険
雇用保険の加入対象は1週間当たり20時間以上の所定労働時間があり、31日以上の雇用見込のある従業員を雇った場合は加入対象となります。
雇用保険で受け取れる給付には以下のものがあります。
求職者給付:失業した際に支給される保険
就職促進給付:再就職した際に給付されるもの
雇用継続給付:高年齢雇用継続給付、育児休業給付、介護休業給付
●社会保険
社会保険には健康保険と厚生年金があり、労使折半で保険料を支払います。